ベートーヴェン生誕251年

なんでこんなにベートーヴェンが好きなんだろう?
彼のソナタはピアニストが必ず勉強しなければならない基本中の基本であり、
楽聖ベートーヴェンとあがめられているけれど・・・

その昔10代のころはハードロックが好きだった。
買うレコード(CDじゃなく)も行くコンサートも
クラッシックではなくてロック。
それもポップなものじゃなくてガツーンとくるような重たいハードロック。
そしてその延長線上にベートーヴェンがいた。

学校の音楽室の後ろにあの髪もじゃもじゃの肖像画があったけれど、
彼はケチで金銭に固執し、
家政婦に卵を投げつけ、
若い女の尻を追い回し、
乞食のような格好で歩き・・・

でも
その音楽は美しく、狂暴で、野蛮で、理解不能で、限りなく深く、優しい。

第9交響曲と同じころ作曲された
荘厳ミサという曲。
第9に勝るとも劣らない、崇高な祈りのこもった素晴らしい宗教曲。
亡くなった弟の息子の親権を母親から奪うための裁判の最中に
構想が練られ作曲された。
いったいこの男の頭の中はどうなっているんだ!?

そしてこの荘厳ミサの出版にあたっては
一社と契約してお金を受け取っていながら
別の数社にも同じことをしていた。

荘厳ミサの冒頭には
作曲者自身の手で
心より — 心に至らんことを
と書かれている。

甥との生活はもちろん破綻してしまったけれど、
その後に書かれた曲たちはどれも
言語を絶するくらい素晴らしい。

そんな混沌の中から生まれた曲を弾けるようになりたい。
いつの日かハンマークラヴィーアを。
Op.111、彼の最後のピアノソナタも。
ベートーヴェンらしく壮大に立派にではなく
書かれてあるがままに。