本番まであと5日、どうしよう!
本番まであと5日、どうしよう!友達も聴きに来る、ピアノの生徒さんも。先生としてちゃんと弾かないと。・・・でもちゃんと弾けるって保証はない。恐怖で体がこわばって、いつも弾けてたところが弾けなくなる。なんで?
・・・どうしてもちゃんと弾けないのなら多少の傷はあっても、音楽的に充実していれば、聴き手は納得してくれるはず。
そして曲を録音しては、あがる練習。間違えたところ、忘れたところをチェックして、そこを重点的に繰り返し繰り返し練習する。次の日に録音すると、前日に間違えたところ、忘れたところはクリアできても、全然違う箇所が失敗する。穴のたくさん開いた鍋みたい・・・
一体どうしたらいいんだ!
これが数年前の私。
今は、そんな心配はせず、ただ曲と深く向き合うことを考える。不安になったら
「どこが楽かな?」
そして体に変化があった場所を見続ける。ちゃんと弾けてるかチェックしない。指をコントロールしようとしない。ただ変化があった場所を見続けながら、少し離れたところで音楽の流れを感じながら。
そして本番が終わりました。多少緊張はしたけれど、いつもとそれほど違わない朝を迎え、会場に行き、リハーサルをやり、本番で弾きました。曲は以前は人前での演奏が最も怖かったバッハ。起承転結がなくて、組み立てが複雑だけど、拍子・リズム・声部の弾きわけ、すべての要素が無駄がなくて抜き差しならない。音符を弾いているだけでは曲にならない。でもなぜかバッハが好きで、何度も挑戦したけれど・・・。
今回は、瞑想をするときにたえず呼吸に注意を向けるように、楽なところに注意を向けて、音楽のフローに乗っていくことだけに集中しました。まるで指で弾いているのではなく、体全体で、ピアノ自体が響くように。
本番がハレの日だという特別感はなくなったけれど、本当は本番に至る一日一日が大切なんだ、と思うようになりました。