悩みのリレキ

私のプロフィールを読むと、さぞ上手で立派なピアニストで先生なんだろうな、と思いますよね。

でも国立音大でピアノ実技の成績は良くなかったんです。まわりのみんながとても上手に見えました。

発表会ではみんな超絶技巧のすごい曲をばりばり弾いている。そういうのを立て続けに聴くと夜眠れなくなりました。もちろん自分が弾くときはあがってガチガチの演奏に。音大に入ったのは間違いだったかな・・・。

さんざん悩んだ音大時代でしたが、幸い友達に恵まれ、無事卒業することができ、ドイツに留学するチャンスに恵まれました。

ドイツでも成績は良くなかったものの、素晴らしい先生と出会い、音楽の根源に触れることができました。

帰国後、子育てで10年間のブランクののち演奏活動を再開したところ、あがってしまってまっ白に。地面がなくなって底なしの空間に落ちていくような感じ。

それでも明日はやってくる。懲りずに演奏を続けました。せっかくドイツで素晴らしいレッスンを受けて音楽の本質を垣間見たんだから、それを伝えたい。上手下手もあるけれど、それを超えた大切なものがある。練習では、若い時よりずっと音楽的に弾けるようになりました。友人も高く評価してもくれるようになりました。

でもコンサートでは・・・あがってしまって思わぬところで失敗を重ねました。

いろんなことをやってみました。ヨガ、こんにゃく体操、コーチング、メンタルトレーニングなど。

そしてアレクサンダー・テクニークに出会いました。最初は体を解剖学的に知って効率的な使い方をするものなのかな、と思いましたが、学び始めると違いました。

中でもミオ・モラレス氏のプライマル・アレクサンダーは、武道や座禅などで基本となる体の使い方と共通点があり、考え方がシンプルなので、ミオの下でじっくり学ぶことにしました。プライマル・アレクサンダーでは、基本的に毎日エチュード(ピアノでやるのではない)をやって、自分の体に対する気付きを深めていきます。

プライマル・アレクサンダーを学び始めてから、まずコンサートでお客様の顔を見ることができるようになりました。

以前は怖くて怖くて目をつぶってピアノを弾いていました。お辞儀をするときはなるべく何も見ないように素早く!

お客様の顔を見れるようになっただけではなく、会場の雰囲気も感じられるようになりました。以前目をつぶって弾いていたときは、聴衆は、演奏者が立派に恥ずかしくなく弾けるかどうか審査している、と思い込んでいました。でも会場の雰囲気が感じられるようになると、聴衆も一緒に音楽を楽しみたいんだってわかってきました。

音楽こそ、人をのびのびとくつろがせ、今ここに自分がいると感じさせるものですものね!!